夏休み明けの1週間は、なんとも長ぁ~く感じられて、疲れた疲れた…
そんなわけで、間が開いてしまいましたが、8月16日の記事「きょうは福島市内を彷徨った」のつづきのようなものです。
福島県立美術館に出かけた目的は、何といっても特別展「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」 を観ることだったわけですが、私にとって福島県立美術館はベン・シャーンのコレクションを保有する憧れの美術館でもあります。
思い起こせば、2009年春に東京都美術館で開催された「日本の美術館名品展」に行き、お土産に福島県立美術館グッズのメモ帳を買いましたっけねぇ…
そして去年初めの神奈川県立近代美術館 葉山での「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト-写真、版画、グラフィックアート-」展(記事はこちら)と、原発事故に関連したその後の顛末…(記事はこちら)
そんなわけで、何が展示されているか判らないけれど、福島県立美術館のベン・シャーンコレクションを観るのも楽しみでした。
んなもんで、プライス・コレクションとの再会の前に、2階の常設展示室へ…。
常設といいながら、最初の作品は福島県立美術館のコレクションではなく、「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」の賛助出品作品、東山魁夷の代表作の一つ、「青響」でした

「The Sound of Silence」を画像にしたらこの作品になるんじゃないかと思うような、滝の音が聞こえるようでいて、静けさに満ちた素晴らしい作品です。
この作品、福島市と猪苗代町との境にある土湯峠のブナ林が「モデル」だそうで、その縁で東京国立近代美術館から福島展に賛助出品されたのでしょうな。
「モデル」と書いたのには訳がありまして、この滝は東山魁夷が実際に土湯峠で見てスケッチしたものではなく、いわゆる「心象風景」なんだとか。
そういえば、同じく東山魁夷の代表作「道」は、青森県八戸市の種差海岸の道路を「モデル」にした作品でしたっけ…
常設展示室には、プライス・コレクションに関連した「特別出品作品」が展示されていました。
それは、斎藤清(福島出身の版画家で、当然のように福島県立美術館は彼のコレクションを所蔵して、常設展でも作品が10点ほど展示されていました)が描いたプライス夫妻の肖像
1965年、たまたま斎藤画伯とプライス夫妻がタヒチで偶然出会って、斎藤画伯が夫妻をスケッチしてくれたのだそうな。
初めてやって来た福島県立美術館、この記事のタイトルにあるとおり、予想以上の大きさでした。
常設展示室は、4室に分かれていて、第2期(7月3日~9月29日)は、展示室A:「コレクション動物園」(プライスコレクション展関連展示)、展示室B:「関根正二と大正・昭和の絵画」と「佐藤朝山(玄々)の彫刻」、展示室C:「海外の名品選」、展示室D:「エルンスト『博物誌』」という構成。
地方自治体の美術館のコレクションは、一般的に、地元ゆかりの作品、超有名なアーティストの作品、そして、その美術館ひいきのアーティストの作品群で構成されているものですが、福島県立美術館もまさにそうでした。
福島と縁のあるアーティストって、まったく頭に浮かばない私でしたが、常磐大空(初めてお聞きするお名前でした)の「天馬奨来図」は「かっけー」作品でお持ち帰りしたいと思いましたし、斎藤清の版画もかなりステキでしたし、佐藤朝山(玄々)の彫刻も見事なものでありました。ちなみに、日本橋三越本店の「天女(まごころ)像」は佐藤さんの作品だったんですなぁ。
国内の「超有名」どころの作品では、安井曾太郎の「ターブルの上」が、まさに「セザンヌしてみました」的で面白かったです

一方、海外の「超有名」どころは、シャガール、モネ、ゴーギャン、ルノワール、ピサロと、まぁ、どこの美術館にもある作家たちの作品で(贅沢な話ですが…)イマイチ、ピンときませんでしたが、福島県立美術館がHPで、
福島県立美術館では、絵画、版画、彫刻、工芸など2,200点以上の美術品を収蔵しています。
なかでも、20歳で歿した画家関根正二と同時代に活躍した画家たち、フランス印象派の絵画、ベン・シャーン、ワイエスら20世紀アメリカの絵画が大きな特色となっています。
と書いている「ベン・シャーン、ワイエスら20世紀アメリカの絵画」は私のツボ
コレクション・ガイドブックの表紙なんて、
ベン・シャーンの版画集:リルケ「マルテの手記」より:一行の詩のためには…』から《一篇の詩の最初の言葉》ですもの
私の寝室にも、ほら
いったい、どんなベン・シャーンの作品を観ることができるのか、出品目録を見ることなく常設展を観ていきますと、最後の最後にベン・シャーンの作品が登場しました

「スイミングプール」が、1枚だけ展示されていました。
手と足が「普通」で(こちらの記事を参照方)、あまりベン・シャーンっぽくないのですが、フェンスや飛び込み台、監視用椅子のふるふるした線は、見紛うことなくベン・シャーン
でも、これ1枚だけかぁ~
とちょっとだけ落ち込んだ私ですが、「スイミングプール」の隣りに展示されていたアンドリュー・ワイエスの作品2点で元気復活
まず、埼玉県立近代美術館での「アンドリュー・ワイエス展 オルソン・ハウスの物語」で、その魅力にすっかり嵌まってしまった(記事はこちら)水彩画の「ガニング・ロックス」。
生きてますよ、この人
しばらくこの作品の前で動けなくなりました。
そして次の作品も凄かった…

「松ぼっくり男爵」。こちらはテンペラ画です。
地面に降り積もった松葉が、かすかな風に吹かれて立てているカサカサという音が聞こえるような気がします。
この3点の作品を観られただけでも、福島で「1泊途中下車」した甲斐があったというものです
つづき:2013/08/25 福島県立美術館はデカかった(中編)


