以前、とある会合で、歌舞伎役者の方のお話を聞いたことがあります。
親戚・縁戚関係の人がゴロゴロいる梨園(歌舞伎界)のこととか(その方もその中の人)興味深く話を伺ったのですが、とくに面白いと思ったのが、「型破り」と「型無し」の話でした。
梨園の名門に生まれた男子は、幼少の頃から踊りや所作を叩き込まれて、歌舞伎の「型」を身につけるのだそうな。
そうした「型」をベースにしつつ新境地を開くことが「型破り」。
一方、「型」がないままに「独自にやってみた芸」は「型無し」なのだそうな。
一般家庭に生まれて、歌舞伎俳優の「部屋子」として修業を重ねた人(例えば坂東玉三郎さんや片岡愛之助さん)や養成所経由の人も増えてきているそうですが、おおどころの多くは、梨園の子息。
そりゃねぇ、ものごころがついた頃から歌舞伎に接してかつ「修業」してきた御曹司と、途中から入ってきた人とでは、スタートラインがまるで違います。
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さて、きょう、映画「国宝」を観てきました。
吉田修一自身が3年間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にし、書き上げた渾身作「国宝」。
任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。
というこの作品、3時間弱⌛という長尺ながらも、日本の実写映画として史上2番目の興行収入を記録(目下継続中)したという大ヒット作です。
「原作:吉田修一、監督:李相日」のコンビの映画を観るのは、私にとって「悪人」(記事)、「怒り」につづいて 3本目。
過去2作を踏まえて、「国宝」の長丁場に挑んだ私でした。
今回は、事前情報を収集することなく(自然に入ってきたものは拒まず)、ほぼ白紙状態でスクリーンに対峙したわけですが、「3時間弱」なのに、「あっという間」というわけではないけれど(お尻がちょいと痛くなった😅)、緊張感💥を持続して見入ることができました👌
「画面」は、手抜きのない「本物」感しかないものだったし、「音」は 音曲(邦楽)はもちろん、舞台上での衣擦れの音まで、劇場の椅子から立ち上がって舞台に上り、間近に歌舞伎を鑑賞している気分になりました。
そしてそして、吉沢亮&横浜流星をはじめとする俳優の皆さんが凄かった😲
田中泯の「得体の知れない大物(人間国宝)」は迫力満点でした。
なにより驚いたのは、映画の序盤に登場した少年喜久雄を演じた黒川想矢くん❗
本格的に歌舞伎か日本舞踊をやっている人かと思ったら、映画「怪物」のあの少年だった😲 黒川くんはまだ15歳だそうで、末恐ろしい😲
歌舞伎や日本舞踊とは縁遠いと思われる人たちなのに(田中泯さんはダンサー)、あんな「芸」を見せてくださるなんて、どんだけ稽古を積んだんだろ😲
いやぁ~、俳優さんたち、ほんと、凄い❗
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思い起こしてみれば、主要キャストで「梨園」と縁があるのは、「歌舞伎指導」も務めた中村鴈治郎さん(朝ドラ「おちょやん」では、「いかにも松竹」な「鶴亀」の社長役だった😀)と、寺島しのぶさんのお二人だけ。
お二人とも、歌舞伎の名門、それもとびきりの「血筋」に恵まれた方々。
でも、一方で、寺島さんの御子息は「初代 尾上眞秀(まほろ)」として歌舞伎役者「も」務めていますが、彼の場合は父親が一般人(しかも外国人)ということで、「部屋子」からのスタートなんですな…。
映画「国宝」のメインテーマは「血(統)か芸か」だと認識していますが、寺島さん自身にとっても重い話だよなぁ。
ところで、映画「国宝」は、先立つ「吉田&李コンビ」の「悪人」「怒り」と同様、東宝による配給です。「歌舞伎といえば松竹」なのに…🤔
松竹は、いろいろな部分で協力(歌舞伎座など劇場を含む)していたようだけれど、こんな大ヒット💥になって悔しいのではないかと思ったして…。
でも、歌舞伎界の「血(統)か芸か」というテーマを描くのは、当事者といってもよい松竹には難し過ぎます。
こういう観点からは、松竹にとっては食指が伸びるテーマではなかったのかもしれません。
しかも、映画「国宝」を契機に、歌舞伎を観に行く人が増えたそうで、東宝・松竹が Win-Winの関係にあるのは、御同慶の至りです。
私が生で歌舞伎を観たのは、2回だけで、最後に観たのは16年前のこと(記事)。
また観に行ってみたくなりました。
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主人公喜久雄は、「日本一になるため」として「悪魔と取引」する(と言っていた)のですが、このエピソードで思い出したのは、ブルーズミュージシャン🎸のロバート・ジョンソンが「ミシシッピ州の十字路(クロスロード)で悪魔と取引して、超人的な歌とギター・テクニックを手に入れた」とされる「クロスロード伝説」です。
喜久雄は、「他の幸せは何も要らないから」と取引したっぽいですが、ロバート・ジョンソンはどんな取引をしたのでしょうか?
ちなみにロバート・ジョンソンは、浮気相手の夫に毒殺されています😞
もう一つ私の心に残った台詞は、喜久雄に対して発せられた
良い顔は芸の邪魔になる
でした。
吉沢亮さんは、どのように受け止めたのでしょうか🤔
久しぶりにブログを書くと、どうも調子を取り戻せず、とりとめが無くなってしまいます😅
ということで、最後に、唯一残念だったこと。
それは、「主人公喜久雄の50年を描いた壮大な一代記」を3時間に詰め込むのは難しいだろうけれど、ちょっと端折った感があって、「あの人はどうなった?」となったのは残念でした。

