つれづれなるまゝに 日くらしPCにむかひて 心に移りゆくよしなし事を
そこはかとなく紫煙に託せば あやしうこそものぐるほしけれ

やはりプライス・コレクションは凄かった(その3)

「やはりプライス・コレクションは凄かった(その2)」のつづきは、丸ごとすべて「お持ち帰り」したいと思うほどの傑作揃い「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」展から、特に印象的だった作品をご紹介します。

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まず、最初の展示作品から圧倒されました。

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大きな屏風から、さらにはみ出す巨大な黒牛と白象、黒牛に寄り添う白い子犬と白象の背中に乗っかる二羽のカラス白と黒大と小の対比が圧倒的な迫力を持ってガラスケースの中から発散する長沢芦雪「白象黒牛図屏風(白いゾウ黒いウシ)」[( )内はこの展覧会のための子ども向けタイトルです]。
そして、この隣りに展示されているのは、「その2」で紹介した鈴木其一の「群鶴図屏風(ツルの行列)」なのですから、初っぱなからやられっ放しでした。

始めからこれって、いったいどうなるんだろ…

本編に入っても、「プライスさん好み」の作品が、さほど広くない会場にギッシリと並んでいます。
様々な絵師の作品が展示されているのに、公設美術館の常設展でよく感じられる散漫さは全くなく、一本、筋が通った展示になっているのは、稀代のコレクター、ジョープライスさんが、自らの目で選んで購入した作品だからなのでしょう。
図録に載っている悦子・プライスさんの発言によると、ジョーさんが絵を買うときには、

はじめ15分ぐらい遠くから見ています。遠くから見ていてある程度の印象を受けます。ゆっくり近づいていって、近づくたびに絵が悪くなるのは絶対偽物だと言います。近づくたびによくなって、これはほしいと思うのは、絶対オリジナルのいいペインティングだというのを、自分の経験で覚えたみたいです。それをずっとやっています。そして1時間ぐらい後に、「誰が描いたの?」とポツッと聞くだけです。だからもともと名前では買ってないです。今でもそうです。

なのだそうで、コレクションの中心が江戸絵画になっていることについては、

好きで買っていた作家の名前が6人ぐらいでした。テイストが同じなのです。だから自然にそうなったと言った方がいいのではないですか。(中略)
好きなものを買っているうちに、それがみんな江戸だったということです。

とか。
なるほどねぇ~。
プライス・コレクションで目立つのは、既出の伊藤若冲長沢芦雪鈴木其一の他、酒井抱一曽我蕭白川鍋暁斎といった辺りでしょうか。
悦子・プライスさんの言う「好きで買っていた作家の名前が6人ぐらい」が、この6人を指すのかどうか判りませんが、私も彼らの作品はお好みです(蕭白はそれほどでもないけれど…)。

酒井抱一「十二か月花鳥図(十二か月の花々と鳥たち)」は、ホント、ステキでした

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2年前に千葉市美術館「帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展」を観た時に、酒井抱一「朝陽に四季草花図」を実家の床の間(今の家には床の間がない)に飾りたいという妄想を抱いたものですが(記事はこちら)、この「十二か月花鳥図(十二か月の花々と鳥たち)」も自宅の床の間(があれば)に飾りたいと思いました(思うだけですが…)

   

「その1」でクイズを2問、出題したのですが、実は、もう1問準備しかけていました。
せっかくですから、ここで問題と解答を並べて載せておきます。

130421_1_02この作品は、伊藤若冲「伏見人形図(伏見でつくられたお人形)」
伏見稲荷の土産物の土人形を描いた作品で、解説によると、

京都では、無病息災などを祈って毎年一体ずつ買い足して、それを7年間続ける風習があります。そうすると、この絵は7体そろったところでしょうか。

だそうですが、この作品を観て思い出したのが、「帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展」での人気作品(私の記事へのアクセス状況からそんな気がします)のこちら

130421_1_05中原南天棒「托鉢僧行列図」です。

なんとなくモチーフが似ていませんか?

中原南天棒は幕末~大正期の禅僧ですが、若冲の「伏見人形図」を意識したものなのか、たまたまこうなったのかよく判りません。   

私の乏しい美術体験の中で、今回初めて知った美術用語に「描表装(かきびょうそう)」というものがあります。
図録を引用しますと、

表装には無地または美しい文様のある絹織物などの裂(きれ)が用いられます。しかし表装で飾られるはずの絵の周囲にまで絵師がいろいろと描き加えることもあり、これを、描かれた表装=「描表装」と呼びます。

だそうで、こちらの作品がそうです。

130421_1_06鈴木守一「秋草図(秋の草花)」です。
葡萄が表装部分にまで蔓を伸ばしているなんて、まるで騙し絵のようです。しかも、風袋(表装上部に垂れている2本のリボンのようなもの)の間にはアゲハチョウが飛んでいます。
なんとも楽しゅうございます。

一方、こちらの作品、呉春松村景文「柳下幽霊図(ヤナギの下のゆうれい)」は、

130421_1_07「柳下幽霊図」というタイトルだというのに、本体の背景は無地で、表装に描かれています。
しかも、幽霊呉春が描き、は呉春の弟子であり異母弟の松村景文が描いているという異色の作品です。

   

なかなかはかどりませんなぁ…

ここで昼食がてら、「MISIA 星空のライヴVII -15th Celebration-」後半戦のチケットを発券してきますので、「その3」はこれまでといたします。

つづき:2013/04/26 やはりプライス・コレクションは凄かった(その4)