つれづれなるまゝに 日くらしPCにむかひて 心に移りゆくよしなし事を
そこはかとなく紫煙に託せば あやしうこそものぐるほしけれ

小村雪岱とその時代(上)

100201_1_1 昨日、良い天気に誘われて、北浦和へ出かけ、埼玉県立近代美術館(MOMAS)で開催中の「小村雪岱とその時代」を観てきました。

小村雪岱(こむら・せったい)は、大正~昭和初期に、本の装丁・装画、新聞・雑誌小説の挿画、さらに舞台美術と多方面で活躍した日本画家。
埼玉・川越生まれという縁からか、MOMASは雪岱のコレクションを持っていまして、これまでもMOMASの通常展(現在は「MOMASコレクション」と呼ばれています)で、何度となく雪岱の作品(「青柳」とか「おせん」の作品群とか)を目にして良いなぁ~と心をホクホクさせていました。

そんなわけで、MOMASが中途半端な雪岱展を開催するはずがない と期待を込めてMOMASに向かいました。

   

まずは、いつものようにMOMASコレクションから。

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今回は久しぶりにリキテンスタイン(大好き)の「積みわら 7」が展示されていました。

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しかも、リキテンスタインがパロった元ネタ、モネの「ジヴェルニーの積わら、夕日」と並べて展示されています。良いですねぇ~、楽しいですねぇ~

この「積わら 7」は、現物(リトグラフ)を観ないと魅力の1/3も伝わりません。ぜひ、MOMASで現物をご覧くださいませ。

他には、初めて観る李禹煥(りー・うーふぁん)の「線より」が印象的でした。

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モノクロでごめんなさいね(MOMASの解説カードです)。 現物は、青いブラッシュストロークが素敵でした。

ブラッシュストロークと言えば、リキテンスタインのシリーズが有名です。

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上のリキテンスタインのブラッシュストローク(私の蔵書より)が油絵的というか、西欧的なのに対して、禹煥の作品はひたすら東アジア的
どこからかリキテンスタインのブラッシュストロークを借りてきて、禹煥の「線より」と並べて展示したらかなり面白そうです。

   

ようやく「小村雪岱とその時代」にたどり着きました。

会場には、いつものMOMASの企画展では珍しいほど多くの観客が詰めかけていました。
しかも、お着物を召されたご婦人方が多い

と思ったら、どうやら、開幕当初は、和服で来場した人にプレゼント があったらしいのですよ。ただ、昨日は「和服でご来場した方へのプレゼントは終了しました」の掲示がありました。
せっかく着物で来たのに」とがっかりされた方もいらっしゃったでしょうが、和服姿の観客が多い中で観る「小村雪岱とその時代」展は非常によい雰囲気でした。
こういった企画(よく東京都庭園美術館ドレスコード割引をやっていますナ)を考えたMOMASに拍手です

 

会場でもう一つ気になったのは、会場の床の所々に置かれた和風の電気スタンド。旅館の廊下に置いてあるようなヤツです。
これまた和風で、会場の雰囲気づくりに一役買っているなぁ、と思っていたら、それだけではありませんでした。

電気スタンドにほわりと浮かぶ絵、

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これ(雪うさぎ。わたしゃ、鹿かとおもっていました)も、雪岱がデザインしたものでした(上の写真は、お土産に買ってきたクリアフォルダーから拝借)。

市販品(量産品)なのか、この展覧会に合わせて特注したものなのか判りません。

図録(今回は買いませんでした)には説明が載っているのでしょうか?

   

今回の展覧会での展示品は、関連展示も含めて300点を超えています
ジャンルも、雪岱がデザインした香水瓶に始まって、装丁した本、模写した絵、デザインした着物や帯、新聞・雑誌の連載小説のために描いた挿絵の原画や雑誌そのもの、ポスター、肉筆画、木版画、舞台のデザイン画などと、幅広く活躍した雪岱の活動範囲を網羅する広さです。

観終わった時は、もう満腹感…。

いやはや、期待していた以上に濃厚で力の入った展覧会でした。

そんなてんこ盛りの展示から、特に気に入った作品について紹介してみましょう。

 

まず、国宝「北野天神縁起絵巻」の模写。美術学校時代の恩師の指示の下、門下生が分担して模写したのだそうですが、雪岱が担当したのは、有名な「恩賜の御衣に涙する太宰府の道真」のシーンでした。
つい先日、太宰府天満宮界隈を歩き回ったこともあって、おぉって感じでした(どんな感じだ?)。

 

次に、雪岱が装丁したの展示。こちらは圧倒されました。この時代(大正時代)の本って、なんと手をかけて作られていたのでしょうか。函・表紙・見返しにふんだんにオリジナルの装画が施されています。
特に、表紙を開いた時に最初に目にすることになる見返し 最近の本は単色無地のちょっと厚めの紙に過ぎないのが普通ですが、雪岱の装丁になる本の見返しときたら…。
小説の無音の序曲ですよ、これは

最近、出版不況だ、返本の山だ、書店から荷ほどきもされないままに返本される、なんて話を聞きますが、本を作る側が、どれだけその本に思いを込めて出版した上で嘆いているのか疑問に感じることしばしばです。
装丁が良ければ本が売れるわけではないにしろ、本が電子出版に対抗するには、「本」にこだわるしかないのではないかと思います。

 

次は、新聞・雑誌の挿絵。こちらは、以前にも、MOMASの通常展で雪岱が挿絵を描いて一世を風靡した邦枝完二・作の「おせん」を物語のあらすじ付きで観たことがありました。

なんど観ても、素敵です。まっすぐな細い線、たおやかな人の形、絶妙な構図…。

 

特に代表作といってもよいこちらなんていかがでしょうか?

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上に載せた絵は、新聞連載用に描いたものを単品に描き直したもの(の絵はがき)ですが、雨の降る江戸の街でちょっとしたトラブルが発生し、「なんだ、なんだ」と人が集まってきている様子が、絶妙のリズムで描かれています。
この作品を手刷りした木版画ミュージアム・ショップで売られていまして、かなり迷いましたが、高い(3万円弱)のであきらめて絵はがきを買いました。

 

まだ「小村雪岱とその時代」展の半分も来ていませんが、きょうはこの辺で「水入り」とさせていただきます。

つづき:2010/02/01 小村雪岱とその時代(下)