「令和初の関西旅行は、京都日帰り #2」のつづきです。
「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展@京都国立博物館(京博)は、懸念された行列はなく、すんなりと入門&入館できました
それでも会場の平成知新館の中は、なかなかの盛況ぶり。
日本画・版画の展覧会では、絵巻物とか浮世絵版画の展示の前にはどどっと観客が密集して、なかなかゆったりと観られないものですが、それぞれ掛け軸に表装された「佐竹本三十六歌仙絵」は、それぞれの作品が間隔を置いて展示されていることもあって、ストレスをためることなくそれぞれの作品を鑑賞できました。
それぞれの絵が、所有者が誂えた表装を身に纏って、凄い、凄い
掛け軸の表装って、かなりさまざまな部材(主に裂[きれ=布地])で構成されています。
右に載せた画像は、Wikipediaから拝借したものでございます。m(_ _)m
Wikipediaを読んで、
「一文字」と「風帯」は共裂(ともぎれ)が用いられ、「中廻し」(ちゅうまわし)には別の素材が用いられ変化をつけている。通常、「一文字」に最上の素材が用いられる。これらの裂の取り合わせが画面を一層引き立てる。
なんて「ルール」があったことを初めて知りました
「佐竹本三十六歌仙絵」を入手した数寄者たちは、それぞれ、歌や歌人に合わせた柄の裂(きれ)を使って、趣向を凝らした表装を施したのだそうで、わざわざ前の所有者が誂えた表装を捨てて表装しなおした所有者もいたのだそうな。
表装が「センター」たる「絵」より目立ってはならないのは当然のことで、「絵」を引き立てる表装を施すことは、所有者のセンスが問われる難行だったろうと思います。
苦労と大金を費やして表装を施した作品を友人や先輩に初披露するときの所有者の気持ちはどんなものだったのでしょう?
「佐竹本三十六歌仙絵」を入手した誇らしさの一方、自分の「美的感覚」がどのように評価されるのか、ドッキドキだったんでしょうねぇ
ちなみに、私でも、買ってき版画や額絵を額装しようとするときには、どんな額縁にしようか、マットはどんな色にしようか、額やマットのサイズ(=余白の大きさ)はどうしようか、なんて考え込みますから…
ちなみに、表装とは関係ないかもしれませんが、私が聞いたところでは、昔々の欧州では、通常、本は袋とじのペーパーバックで売られていて、購入者は、ペーパーナイフで切り開きながら読み進め、読み終えたら、装幀職人に依頼して表紙ほかを誂えたのだそうな。真偽は不明ですが…
私、表装を気にして絵画を鑑賞したことはありませんでしたが、前述の「事情」を事前に聞いていましたので、今回は、表装も含めて「佐竹本三十六歌仙絵」を鑑賞させていただきました。
たしかに、「佐竹本三十六歌仙絵」を手に入れた所有者たちの喜びが伝わってくるような表装だらけ。
その辺は、図録も十分に踏まえていて、表装へのリスペクトが感じられる構成になっています。
出陳された佐竹本三十六歌仙絵全作品について、A3+αのサイズを折り込みにして、歌仙のお顔と詞書き&歌(現代語訳付き)を載せ、次に表装された全体を載せ、そして、折り込みを開くと歌仙絵のみを観ることができます。
このフォーマット、分割された佐竹本三十六歌仙絵を反芻するのには最適な気がします。
さらに、図録の表紙の3/4を覆う巨大な腰巻は、表装に使われている裂があしらわれていて、これだけでも十分に鑑賞の対象になり得ます
(腰巻を外すと、表紙は小野小町、背表紙は「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」の藤原敏行というのも素晴らしい 加えてお二人とも出羽国と縁があるところも個人的にうれしい)
佐竹本三十六歌仙絵の個々について書いていたらキリがありませんので、全般的な感想を…
この作品の絵を描いたのは、鎌倉時代前~中期の名匠・藤原信実(と彼のグループ)と考えられていますが、やはり鎌倉時代のアートは日本の歴史の中で燦然と輝いていると再確信いたしました。
各歌仙のプロポーションといい、余白の大きさといい、伸び伸びとしている一方で、表情が繊細に描かれていて、各歌仙の個性を際だたせています
ところで、展覧会では、ホンモノの展示に先立って、分割直前に名匠・田中親美が模写した絵巻(木版画らしい)が展示されていましたが、この模本の展示は、ホンモノの展示の前が良いのか、あとが良かったのか、ちょいと考え込んでしました。
京博は、田中親美による模本を上下巻とも所蔵しているのですから、できることなら、ホンモノの展示の前とあとに模本を展示して欲しかった…
そうすれば、「佐竹本三十六歌仙絵巻」のオリジナルの形式と、現在の有り様との比較を2度 実感することを通じて、その功罪をしみじみと考えることができるような気がするのですが…
いやぁ~、それにしても、この満腹感はなんでしょ
楽しませていただきました
ミュージアムショップでは、クレカを使って図録だけを購入しました。
図録は、3,000円(税込)と、他の展覧会の図録と比べて高価だし、かなり重い(約1.5kg) のですが、展覧会の途中でチラ見したところでは、それらに見合う価値があると見込んだわけで、私の見立ては正しかった
と、そのことは、帰宅して図録をしげしげと見入って思ったことで、このときは、「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」展に大満足の中で、京博を後にしました。
っつうか、明治古都館を見上げながら、この後の行動をどうするか考えました。
あ ロダンの「考える人」…
とりあえず腹が減った…
時刻は12:30。
でも、昼食はどこで食べようか…
京都に来ると、いつも昼食に迷うんですよねぇ。
つづき:2019/12/13 令和初の関西旅行は、京都日帰り #4

