つれづれなるまゝに 日くらしPCにむかひて 心に移りゆくよしなし事を
そこはかとなく紫煙に託せば あやしうこそものぐるほしけれ

長澤英俊展は時間が経つにつれて染みてくる

昨日(9/22)、ブログ(こちら)をアップした後、埼玉県立近代美術館(MOMAS)へ出かけてきました。もちろん、会期末になってしまった「長澤英俊展 オーロラの向かう所」を観るためです。

090923_2_1 長澤さんという方、恥ずかしながら、初めてお名前と作品を拝見しました。展覧会のチラシから抜き書きして紹介に代えてしまいましょう。

長澤さんは1940年、旧満州に生まれ、母の故郷の埼玉県川島町で育ち、県立川越高校⇒多摩美術大を卒業。
1966年に日本を発って、東南アジア、中近東を自転車で横断。1年後に到着したミラノに住み着き、現在もミラノを拠点に活躍中。
長澤さんの作品では、形とイメージ、時間と空間、眼に見えるものと見えないものの関係が根本から見つめ直され、それらがある時は詩的に、ある時は明解にあらわされています。

だそうです。
ただのもの好きで美術館に出かけるド素人の私なら「凄い」「楽しい」「美しい」「う~む」で済ませられるところを、プロ(学芸員や研究者、評論家など)の方々は大変ですねぇ。

それはさておき、今回の「長澤英俊展」は、川越市立美術館とMOMASの二会場に分かれて開催されています(いました)。いやいや、埼玉県川島町(長澤さんの育った街)の遠山記念館でも「NAGASAWA IN KAWAJIMA 長澤英俊展-夢うつつの庭-」が同時開催ですので、作者ゆかりの街で同時多発的に開催される壮大な展覧会だったわけです

090923_2_2 それに気づいたのは、ついさっき… 川越市立美術館でも開催されていることは、前から知っていました。でも、その意味するところに気づいたのは、この記事を書き始めてからのことでした。
気づいた時は既に遅し…。最終入場時刻(16:00)までに川越市立美術館に行くことなんて到底無理です。ましてや、遠山記念館まで足を延ばすことなんて時間を巻き戻すことができない限り不可能です。
ちゃんとMOMASのDMに眼を通しておけば良かったとつくづく反省しています。また、せっかくNHKの日曜美術館 アートシーンでも9月6日に紹介されていたというのに…(録画していたのに見もせず消去してしまっていました)。

   

そんなわけで、「MOMAS + 川越市立美術館 + 遠山記念館」で得られたであろうものと、MOMASだけ観て得られたものとは、相当な違いがあると思います。

とは言え、MOMASでの長澤英俊展を観て感じたところをメモのつもりで書き残しておくことにします。

普通、展覧会では、作品名や制作年、場合によっては画材・素材などが書かれたプレートが作品の近くに備え付けられています。が、「長澤英俊展」ではそうしたプレートはまったくなく、作品が点々と展示されているだけです。その代わり、B4のわら半紙に両面印刷された会場図面&展示ガイドが配られました。

こちらが、会場図面。

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そしてこちらが「展示ガイド」。B5サイズで3ページの分量があります。

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展示ガイドの「さわるとバランスを崩す危険な作品があります」の注意書きがいい

これぞ、生の醍醐味。ライヴ感にあふれています。

   

さすがに巨大な作品がほとんどでしたので、いつもの「家に持って帰れるとしたらどれを選ぼうか」的な楽しみ方はできませんでしたが、かなり印象に残る作品が何点かありました。

ベッドの天蓋のようなシルクの薄布に囲まれて、かすかに透けて見える物体、あれは何だ?と好奇心が刺激される「ゼノビア」、無国籍な作品群の中で唯一日本を感じさせる「詩人の家」、砂漠の中に幻想のように現れたオアシスを連想する「バグダッドの葡萄の木」、蓑虫のような角材の束の中に白い大理石の玉が息を潜める「意識の構造」なんかも良かったですが、この展覧会で私にとって一番の作品は「空の井戸」でした。

空の井戸」について、「展示ガイド」にはこう書かれています。

J. 空の井戸 POZZO NEL CIELO
2003年/木、鉛、鉄、鋼鉄製ワイヤー
独特の質感を持つ鉛のシートによって形づくられた大きな立方体が、釣り鐘のように宙づりになっています。よく見ると、部屋の四隅から伸びた角材を互い違いに井桁状に組むだけで、全ての構造が支えられているのが分かります。軽やかに宙に浮かぶこの作品には、「空の井戸」という詩的な作品名が付されています。あなたはこの井戸からどんなイメージを読み取りますか?

この「部屋の四隅から伸びた角材を互い違いに井桁状に組むだけで、全ての構造が支えられている」が、判ったような判らないような…。

で、帰宅して、すぐに試してみました。

まず、コップを用意して、爪楊枝4本で井桁を組もうとしました。ところが、爪楊枝は断面が丸いので、何とも落ち着きがなく、全然言うことを聞いてくれません。

そこで、角材に近い形状である割りばしを使って再チャレンジです。一膳の割りばしを真ん中で切断して、それぞれを分断し、手頃な大きさの器(リモコン置き場に使っている壺を利用)にセット…。

何度かのチャレンジの末、ついに完成しました~

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なんだか面白くないですか?角材(割りばし)が互いに支えて、支えられて位置を保っている…。

実際の「空の井戸」のように、この井桁に重いモノを吊せば、もっと安定しそうな感じ。

   

正直、「長澤英俊展」を観ている最中は、ちょっとイマイチの感じがありました。
ですが、帰宅して、この記事を書くためにチラシを読み直したり、「展示ガイド」を読んだりするうちに、観てきて良かったぁ~じわじわ思っています。

長澤英俊展は、今回川越市立美術館で展示されたものと併せて、以下の美術館を巡回するようです。

国立国際美術館(大阪)   10月10日~12月13日
神奈川県立近代美術館(葉山) 2010年1月9日~3月22日
長崎県美術館(もちろん長崎) 2010年7月3日~8月29日

機会があったら、是非お出かけくださいな。