つれづれなるまゝに 日くらしPCにむかひて 心に移りゆくよしなし事を
そこはかとなく紫煙に託せば あやしうこそものぐるほしけれ

東京国立博物館での「サクラ」以外の展示

「サクラといえば上野か? (後編)」のつづきのようなもので、先週土曜日に出かけてきた東京国立博物館(トーハク)のお話です。

今、トーハク平成館での特別展狭間の状態で(表慶館での「アラビアの道」展は開催中:記事はこちら)、ちょっと落ち着いた感じのはずだったのですが、「博物館でお花見を」「春の庭園開放」が開催中でしたし、上野公園お花見から流れてきたっぽい国内外からの見物客で賑わっていまして、なにやら華やいだ雰囲気でした。

そんな中で、けっこう地味に開催されていたのが、「東京国立博物館コレクションの保存と修理」「江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に」「日本の仮面 能狂言面の神と鬼」3つ特集展示
私、個人的に「能」に対する関心が薄い もので、「日本の仮面 能狂言面の神と鬼」「ふ~ん…」って感じでしたが、「東京国立博物館コレクションの保存と修理」「江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に」面白かった

そんなわけで、この2つの特集展示のことを書きます。

まず「東京国立博物館コレクションの保存と修理」展示室に入ってすぐに、あれ

この特集展示は、

この特集では、近年修理を終えた作品を展示し、それぞれの修理のポイントや工程、その過程で得られた情報もあわせて紹介することで、当館の保存修復事業の一端をご覧いただきます。18回目を迎えた今回は、絵画、陶磁、刀剣、染織、考古、の分野から本格修理を行った15件、民族資料、染織から対症修理を行った2件、計17件の文化財を展示します。

というものなのですが、冒頭(右に載せたリーフレットも同様)で紹介されていたのは、庭園開放で見て、「サクラといえば上野か? (前編)」で、

この「大燈籠」のことは、本館内の展示でその「いきさつ」を知ることになったのですが、この話も含めて、つづきは「後編」で。

と書いた「大燈籠」でした。

リーフレットによると、

火袋部(中央の窓のついた部位)に、焼成時または長年の重量負担で生じた大きな亀裂があり、過去に修理が行われている。旧修理部分や接合部材は経年で脆くなったため、今回の修理で除去し、亀裂に樹脂を充填し補強した。下部に掛かる重量負担を軽減させるため、燈籠内部の空洞部にステンレス製の心棒を入れて各部位を固定した。

だとか。

「サクラといえば上野か? (前編)」で、

前からあったかな…

と書きましたが、上の説明で「今回の修理」とある修理がいつ始まったものなのかよく判らず、ずっとを見落としていたのか、はたまた先週初めて見たのか…

   

もう一つの特集展示、「江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に」は、

この特集は、江戸時代後期(18~19世紀)に活躍した京焼の陶工(とうこう)・奥田頴川(おくだえいせん、1753-1811)とその門下生を中心に取り上げご紹介するものです。(中略)
頴川の下には、青木木米(あおきもくべい、1767-1833)、欽古堂亀祐(きんこどうきすけ、1765-1837)、仁阿弥道八(にんなみどうはち、1783-1855)といった京焼の陶工たちが集い、中国陶磁の技法を用いたり、伝統的な京焼の作風をふまえたりしながら、それぞれが個性のある陶磁器を作り出しました。さらには、各地の藩に招かれ、藩主たちが城内などに開いた窯で焼く御庭焼(おにわやき)の発展に関与するなど、多様な作風を生み出し、京都の陶磁器づくりの技術が、全国へ広がっていくきっかけを作りました。

というものなのですが、私としましては、仁阿弥道八の諸作品ににんまりしっぱなしでした。

2016年11月の記事「秋の上野は芸術の秋 (その9・最終回)」で紹介した大笑いする寿老人(寿老人大香炉)とか、小っこくってcuteお多福さん(色絵於福香合)とか、袈裟を着てすましているタヌキとかに再会できて、もうニッコニコ

加えて、

「銹絵雪笹文大鉢」カッコイイし、冬のスズメっぽく丸くなっている

「楽雀香合」はなんともかわいらしい

と、ここで、「秋の上野は芸術の秋 (その9・最終回)」をじっくり観ると、タヌキの置物が前回と今回とは違う
今回のタヌキ黒い衣を着ていた気がする…

そこで展示作品リストを見ると、前回は

「三彩狸置物」だったのに対して、今回は「色絵狸炉蓋」となっています

なんと、タヌキ坊さん化け損なったようなこのユーモラスな置物には別バージョンがあったんですなぁ。
う~む、、「色絵狸炉蓋」の写真を撮らなかったことが悔やまれます

まぁ、「色絵狸炉蓋」トーハクの所蔵品ですから、またいつかお目にかかれるだろうと思います。

   

もう1点だけ、この日トーハクで観た作品を載せておきます。

私、かねてから円山応挙って、ホント、うまい絵師だ と思っているのですが、展示されていた「写生帖(丁帖)」を観て、ますますその思いを強くしました。
写生力の高さもさることながら、その一方で、

この鸚鵡(オウム)、シンプル極まりないスケッチですけど、いいなぁ~

ニコニコしながらスケッチする応挙が目に浮かぶようで、被写体/モデル(鸚鵡)に対する作者(応挙)の愛情が感じられたのですがいかがでしょうか?

ほんと、いいなぁ~

【追記】3月31日(土)にトーハクを再訪して、仁阿弥道八「色絵狸炉蓋」の写真を撮りましたので、載せておきます。

モチーフこそ、「坊さんのフリをしているタヌキ」で、以前観た「三彩狸置物」と同じですが、衣の色だけでなく、顔の向きとか、台座の厚みがずいぶん違います

説明板によれば、

彫塑表現を得意とした道八の作品には動物を象ったものがしばしばみられる。これは僧に化けた狸を表したもので、炉(茶室畳の下に切られた火をおこすところ)に蓋をするためのもの。開けられた狸の口の隙間から煙が抜けていたのであろうか、ユニークな一作である。

だそうで、このタヌキが、茶室の畳の上にちょこんとおすましして座っている様子を想像すると、ますます楽しい (2018/04/01 18:49)